はじまりがあれば、いつかおわりがある。ずっと続いて欲しいと思っていても。
プロ野球生活25年。四半世紀に渡って第一線で活躍した横浜の生ける伝説、”三浦大輔”がつい16/9/29現役生活最後を迎えた。
三浦はずっと横浜だった。長く横浜が低迷する中、様々な選手が引退や移籍をする中もずっと横浜に残り続け、横浜で戦い続けた。三浦は横浜ベイスターズの象徴であり、今のベイスターズをずっと支え続けてきた苦労人だ。
野球に全く興味がない人も、名前ぐらいは聞いたことがあるだろう。野球を知らない人に横浜の事を話してみると、「横浜って番長以外よくわかんなーい」なんて返事が来るのがあたり前だった。
そんな三浦がついにユニフォームを脱ぐ時が来てしまった。最終戦のチケットはまさに争奪戦。チケットを求め、発売日には深夜二時までチケット売り場には行列ができていたそうだ。
運良くチケットを取れ、2016年ベイスターズの最終戦であり、三浦大輔の最後のマウンドを見に行くことが出来た。
そもそも、ベイスターズは功労者に対して冷たい球団だった。数々の横浜を支えてくれた選手に対して、セレモニーは準備しないわ、そもそも1軍にも呼ばないわ、ひどい扱いだった。ファンも最終戦では球団に対して功労者への扱いが雑すぎると怒る人も多かった。
ただし、今回は違った。横浜中に三浦大輔のポスターが貼り出された。JRやみなとみらい線などの駅には番長の写真が並び、街には背番号18の旗が並んだ。球団も最大級のリウスペクトを持って最後の試合を用意してくれた。これは球団にも拍手を贈りたい。
引退が発表されてから公開された”永遠番長”特集。この後姿をいつまでも応援したかった。
また、JRでは電光掲示板でも盛り上げる!横浜に愛された男なのだ。
試合当日。仕事を早々に終えてハマスタに向かう。平日開催なのに今日だけは超満員だ。おそらくチケットが無くても最後はハマスタで過ごしたいというファンも多かったのだろう。今日は休日なのでは?と思うぐらい人が押し寄せていた。
スタジアムに入る前から既に人だかり。永遠番長をみんな記念撮影。
会場のゲートも三浦仕様に。
スロープに設置している旗も全て三浦。
中に入ると球場はほぼベイスターズファン一色。対戦相手のヤクルトファンも外野にはいるものの、大分ベイスターズファンに占領されてしまったようだ。ヤクルトファンには申し訳ないなと思いながら観戦。
試合が始まってみると、もう大荒れだった。初回にヤクルトに1点取られると、ベイスターズもすかさず1点取り返す。2回に3点取られるとその裏には5点取り返すという、ノーガード打ち合いのバカ試合。どんなに三浦が点を取られても、野手陣は三浦に勝ちをつけようと攻めまくった。三浦自身もヒットを放ち、全力疾走。最後には梶谷のタイムリーで自らの足でホーム生還。凄まじい展開に思えたがいつまでも反撃は続かなかった。
三浦も点をたくさん取られた。終わって見ると7回途中で10失点。これ引退試合なのかな?というぐらいの点の取られ方をした。
でもどんなに打たれても、どんなに辛い時でも三浦はバッターから逃げずに真っ向勝負を続けていた。ストライクを取るたびに球場全体から送られる拍手。ヒットを打たれても球場からの張り裂けんばかりの”頑張れ三浦”コール。そんなファンのコールに呼応する三浦大輔。三浦はファンの声援に常に答え続け、常に相手に立ち向かってくれた。その姿を最後の試合でもファンに見せてくれた。本当に偉大な選手だと思う。
6回終わって10失点。もうこれ以上は限界だろうなと薄々ファンも気づいていたけど、認めたくなかった。限界を認めてしまうとそれは三浦の最後を意味してしまうから。でも6回の裏の攻撃では、ネクストバッターズサークルに準備しているのは紛れもない番長:三浦大輔だった。ラミレス監督の”マウンド上で終わらせたい”との粋な計らいで、7回も打者1人だけ勝負させるために打席に立たせたのだった。
ハマスタは割れんばかりの大歓声。もうここまで来たのであれば250球でも投げて完投してくれなんて思ったりもした。
7回。これから投げなければ行けないというのに、バックスクリーンのビジョンに映る三浦の目には涙が浮かんでいる。それ以上にキャッチャーの高城が号泣していた。その高城が三浦になんか言っているのは見えた。
「三浦さん、全球ストレートで行きましょう!」
対戦するバッター雄平も、ストレートに対して渾身のフルスイングで応える。男三浦大輔の最後のマウンドに、僕たちはファンみんなは大粒の涙を流さずにはいられなかった。渾身の力でストレートを放り込む姿が三浦の生き様をそのまま写し取ったようだったから。
試合が終わってみると11-6と大敗だ。でも三浦もすべての力を出し切った結果だ。どうにかして三浦に勝たせたいとのファンの願いも届かなかったが、これが勝負の世界だ。むしろベイスターズの最終戦でこんなに大声を出して応援したことがあっただろうか?
最後には球団からのこれまで見たことがない盛大なセレモニー。多くの選手が首を着られる中、自分からケジメをつけられ、また球団から、そしてファンから最後を見届けてもらえる選手は本当にごく一握りだと思う。
そんなセレモニーに三浦とファンに向けられて作られたムービーがこちら。
まさに、三浦の選手人生を凝縮させ、ファンの思いを載せた素晴らしいムービーだと思う。FA宣言をし、阪神と交渉をする中出席したファン感謝デーで、子供から大人までが三浦に「やめないで!」と声をかけるシーン。
2軍で1軍の試合を見ている時、テレビで背番号18をつけて応援しているファンの姿を見たら「絶対にここに戻るんだ」と思って頑張れたというシーン。
全編通して涙なしには見れず、球場では至る所からすすり泣きが聞こえ、「三浦」と叫びたくても、泣いて声をだすことができなかった。本当にいい映像を作ってくれたと思う。
番長、18回宙を舞う!!
— 固め濃い目 (@katamekoime1) 2016年9月29日
ありがとう番長!!#baystars #永遠番長 pic.twitter.com/ksMfysq4NM
最後にはゆっくりグラウンドを一周し、ベイスターズのチームメイトから胴上げされ、18回宙を舞う三浦。
胴上げしているチームメイトを見たら、昔のような暗黒時代はどこへ行ってしまったのか?と思うぐらいの頼もしいメンバーがいる。全員が三浦の背中を見て育ってきたのだろう。これからも若手にはこの三浦のスピリットを受け続けてほしいし、これから生まれる横浜ナンバー背番号18をつけられるような選手が現れる事を楽しみにしたい。
ありがとう、三浦大輔。これからもずっと横浜で。
- プロ野球、横浜ベイスターズの選手。 通称「ハマの番長」。 右投右打、ポジションは投手。背番号は46→18番。 1973年12月25日生まれ。奈良県橿原市出身。 高田商業高校から1992年、ドラフト6位で横浜大洋ホエールズに入団。 1995年、一軍に定着。 1998年、12.. 続きを読む
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